スポーツには向き・不向きがあります。
長距離走は、誰でも努力次第でそこそこタイムを伸ばせるのですが、短距離走は個人の素質や才能が大きく影響しています。
向き・不向きは体格や筋肉の付き方だけでなく、生まれつきの性格も関係しています。
我が家には性格が正反対の娘と息子がいます。
- 娘 負けず嫌い・努力家・自主練を毎日欠かさず頑張るタイプ
入部して半年でレギュラーになれたよ。
- 息子 おっとり・協調性は高い・相手に向かっていくプレーは大の苦手
中学では3年間レギュラーになれず引退したよ。
ぴよきちは子どもたちの部活選びに関しては、基本的に口を出さずに見守る方針でした。
娘も息子も自分から入りたいと言ってバスケ部に入部したのですが、性格でこんなにプレーに差が出るんだ…と驚きました。
1学年上の先輩たちと一緒にレギュラーとして試合に出て走り回って活躍していた娘と、
練習をサボらず頑張ってはいたけれど、最後までベンチ入りが精一杯で一度もレギュラーとして試合に出してもらえなかった息子。
うちの息子のように、毎日部活を頑張っているのにレギュラーになれなくて、悔しい思いをしているお子さんはいますよね。
この記事では、レギュラーになれた娘と、一度もレギュラーに選ばれなかった息子を、ずっと見守って来て気づいたことをまとめます。
一度もレギュラーに選ばれなかった息子
息子は中学時代、部活の練習を一度も休んだことがありませんでした。
顧問の先生から、部員の中で一番真面目に練習を頑張っていますと褒めてもらいました。
部活内では身長はそこそこ高い方で足も速く、体格的にはバスケ向きと思える息子でしたが、おっとりした性格が故に、相手からボールを奪い取るプレーがとても苦手でした。
バスケはボールを奪い合うスポーツなんだけどね…。
そんな性格が仇となり、練習試合に出してもらってもなかなか得点することができませんでした。
シュートやドリブルなど基礎的な技に関してはそれなりに上達しましたが、中学3年生の最後の試合でもレギュラーに選ばれることはありませんでした。
3年生の部員数が多かったこともありましたが、それでも2年生からレギュラーとして試合に出ている後輩がいたので、息子は文字通り「レギュラーに選ばれない子」でした。
ずっとベンチで待機して、ピンチヒッターとして少し試合に出るだけだったからつまらなかったよ。
息子は、普段練習をサボっているチームメイトが「点数を取れるから」という理由でレギュラーに選ばれて試合に出ているのが納得できないと、家で怒りながら言っていました。
頑張っている子をレギュラーにするか、点数が取れる子をレギュラーにするかは顧問の先生の采配によって違います。
※ぴよきちは、得点できる子をレギュラーに選んで「勝てるチーム」を目指すことを悪いことだとは思っていません。
息子が所属していたバスケ部は練習がとても厳しい部活でしたが、文句を言いながらも引退する日まで一度も練習をサボることはありませんでした。
部活の最終日、帰宅した息子に「最後まで練習を頑張ったね!」と褒めたのですが、
「やっと終わった!部活が楽しいと思ったことは一度もなかった!もう二度とバスケ部には入らない。」
更に「高校では絶対に部活に入らないから」と怒り口調で言われました。
補欠の息子を見守り続けた親の気持ち
息子が万年補欠メンバーであることは分かっていましたが、もしかしたら少しだけでも試合に出られるかもしれないと思い、公式戦は出来るだけ応援に行きました。
息子にバレないように会場の隅でこっそり応援していました。
試合を見に行ったのは正解でした。
なぜなら息子がレギュラーになるために足りないものがはっきりと分かったからです。
- ボールを奪い返すために必死になって対戦相手に突っ込んでいく子
- プレーに夢中になって壁に激突している子
- 最後まで諦めず観客席に入ってボールを追いかけて行く子
そんな必死なプレーをしているレギュラーの子たちの姿を見て、息子にはそこまでボールに執着して追いかけるようなプレーは出来ていないことがハッキリと分かりました。
目の前の相手に何が何でも勝ちたい!という執念が息子にはありませんでした。
「こんなに毎日練習を頑張っているのに、どうしてうちの子はレギュラーになれないの?」
そう、怒ったり嘆いたりたりする保護者の方を時々見かけます。
ぴよきちも、試合の応援に行くまではずっと同じ気持ちでいました。
あの頃の気持ちを思い出すだけで、今でも泣きそうになります。
息子は誰よりも真面目に練習を頑張っているのに…
1学年下の後輩が出ている試合にどうして出してもらえないの?
ずっと悔しくて、息子が不憫で仕方がありませんでした。
我が子がレギュラーになれない原因を知りたかったら、練習試合でもいいので一度見に行ってください。
特にバスケのような団体競技の場合、試合を客観的に見ることで初めて我が子のプレーに気づかされることが多いです。
我が子が試合に出ていなかったとしても、見に行くことをおすすめします。
常にレギュラーだった娘が苦労していたこと
ぴよきちの娘は中学・高校と、どちらも1年生からレギュラーとして試合に出ていました。
そして中学、高校と部活のキャプテンを務めました。
※小学4年生から6年生までバスケ部、中学と高校はバレー部でした。
キャプテンとして常にレギュラーで試合に出続けていた娘にも辛いことは沢山ありました。
娘の中学時代の部活
中学時代は「勝つこと」にこだわる顧問の先生だったので、試合に負けるとキャプテンである娘が代表して叱られました。
部員が多い部活だったのでレギュラー争いも激しく、常に内輪もめしている状態でした。
娘は中学では「キャプテンとして部員全体をまとめなければならない」という使命感に振り回されていて、部活を楽しむ心の余裕は一切なかったそうです。
高校に入ってからの部活
高校では初心者と経験者が半々だったこともあり、勝つことよりもチーム全員で仲良くプレーをすることを優先させていました。
地域でも下から数えた方が早いくらいの自他ともに認める「弱い」チームでした。
試合には負け続けているチームでしたが、娘は高校で初めて「部活が楽しい」と言いました。
もし中学時代に部活が厳し過ぎたり、顧問の先生と合わなかったり、レギュラーになれなかったとしても、高校ではガラッと雰囲気が変わり娘のように楽しめることもあります。
先輩・後輩の繋がりも高校の方がフレンドリーになることが多いです!
特にバレー部は中学から高校に上がる段階で半分に人数が減ると言われています。
中学時代に練習が厳し過ぎたのがトラウマで、高校では同じ部活を続けない子が多いんだって。
中学からバレーを始めて真面目に練習して来た子でも、基礎がしっかり身に付くまで2~3年はかかるので、身体が自然に動いてプレーすることが楽しく感じることができる前に引退になることもあります。
せっかく動けるようになったタイミングで部活が終わるのは勿体ないよね。
娘のように高校に入ってから初めて部活が楽しめるようになった子は沢山います。
まずは高校の部活を見学して、先輩たちに疑問に思ったことはどんどん質問してみてくださいね。
レギュラーとして活躍する娘の姿
試合で活躍している娘の姿を見るのは親として誇らしく、応援するのはとても楽しかったです。
ただ、勝つ試合もあれば負ける試合もあります。
試合に負けた日、家の玄関に入ると同時にうずくまって大泣きしたこともあり、家に帰るまで必死で泣くのを我慢していたんだ…と驚いて慌てて娘をギュッと抱きしめたこともありました。
息子は試合に負けても泣いたことは一度もなかったので、試合の勝ち負けはレギュラーではない子にとっては他人事なのかな…と思いました。
息子は自分の出ていない試合の勝敗には全く興味がありませんでした。
レギュラーの子とレギュラーじゃない子の違い
レギュラーだった娘とレギュラーになれなかった息子には決定的な違いがありました。
それは「家で部活の愚痴を言うか言わないか」の違いです。
ずっとレギュラーでキャプテンを務めて部員をまとめて大変な思いをしていた娘から、部活の愚痴を聞いたことは一度もありません。
でも、息子は毎日のように部活の不満や愚痴を言っていました。
息子に限らず、娘の部活でもレギュラーになれない子ほど愚痴が多い傾向にありました。
先生に苦情を言う親
息子はレギュラーになれない悔しさから、私に部活の愚痴や文句を毎日のように話していました。
私が試合を見に行っていなかったら、息子の話を全て鵜呑みにして顧問の先生に「どうしてレギュラーになれないのか」と、問い詰めてしまったかもしれません。
ただ、レギュラーになれない理由が分かっていても、我が子の愚痴を聞いて受けとめることは親の役目だと思ったので、息子の話は否定せず、ひたすらうんうんと相槌を打って聞きました。
言葉にしてモヤモヤした気持ちを発散させることも大事ですからね!
でも息子が自分に都合よく、誇張して話している部分があることは分かっていました。
練習をサボっている部員がレギュラーになれていたのは事実でしたが、息子が言っているほどサボっていたらあんなプレーはできません。
息子の愚痴は、部活を引退するまで続きました。
高校でも部活の愚痴を言うのかな?と思っていたのですが、予想に反して、高校の部活の愚痴は一度も言いませんでした。
本人の成長もありますが、自分に合っている部活に入ったことが大きかったみたいです。
高校は毎日部活が楽しかったからね!
最後に
部活はレギュラーになって活躍することが全てではありません。
- 先輩・後輩との関係
- 顧問の先生に対する葛藤
- レギュラーに選ばれなかった時の悔しさ
- 試合に負けた経験
部活を通して、様々なマイナスの感情を乗り越えることで忍耐力がつき社会性も身につきます。
息子はずっとレギュラーになれなかったという「悔しい経験」を通して、自分と同じ様に試合に出れないチームメイトの気持ちを思いやることができるようになりました。
部活で落ち込んでいる子がいるとサッと励ましに行けるようになりました。
これは吉田沙保里さんが試合に負けて挫折した時にご自身のお母様からかけられた言葉です。
オリンピックを前に私は完全に自信を失い、抜け殻のようになって実家に帰りました。
「これまであなたに負けた人たちも、同じように悔しい思いをしてきたのよ」
そんな私に立ち直りのきっかけを与えてくれたのが、母のこの言葉です。
出典:プレジデントウーマン
吉田沙保里さんはこの試合の挫折をきっかけに練習を更に頑張り、北京オリンピックで金メダルを獲得しました。
繰り返しますが、スポーツには向き不向きがあります。
長く続けていても、どうしても楽しさが分からないスポーツなら、高校進学をきっかけに思い切って全然別のスポーツに切り替えてみることをお勧めします。
息子は、バスケ部では一度もレギュラーになれませんでしたが、高校で入ったバレー部では1年生の夏休みからレギュラーに選ばれました。
初めてレギュラーのユニフォームをもらえたよ!
帰宅すると、もらったユニフォームをカバンから取り出して嬉しそうに見せてくれました。
今は部活のために高校に行ってる!と言うくらいバレー部の練習が楽しいと言ってます。
部活の愚痴ではなく、試合で上手く出来たプレーや反省点にについて話すようになりました。
息子がバレー部に入って一番嬉しかったことは、試合中に「全部自分にボールを上げろ」と我がままを言っていたレギュラーのチームメイトに向かって、「コートに入れない部員の気持ちを考えろ!」と怒っていたことです。
チームメイトを思いやる気持ちを持ってるようになっていたので、レギュラーになれず悔しい思いをした日々も無駄ではありませんでした。
最後になりますが、お子さんが部活内であまりにも理不尽な扱いをうけていることが分かったら、すぐに部活を辞めさせてください。
息子・娘の周りの友達には「内申点のために」と親に強要され、最後まで無理して部活を頑張ったことで、スポーツそのものが嫌いになってしまった子が何人もいました。
息子もバスケ部でレギュラーになれなかったことが原因で、一時期スポーツそのものに完全に自信がなくなってしまっていたので、「早く部活を辞めさせればよかった…」と後悔しました。
中学の内申点のことは「スポーツ推薦」を目指していなければ一切気にする必要はありません。
お子さんが部活を楽しく頑張れることが何より大切なことですので、部活を辞めたいと言い出したらまずは話をしっかり聞いてあげてくださいね。
2024.6月追記です。
息子は高校では部活内で一番点数を取ることができるエースとしてレギュラーに選ばれ、公式戦で県大会に出場することができました。
息子の通っている高校のバレー部で県大会に出たのは初めてのことでした。
中学時代のバスケ活では一度もレギュラーに選ばれず辛い思いをしましたが、「バスケ部で基礎練習をサボらず体力をつけておいて良かった」と笑顔で言っていました。